習い事の「やめどき」は意外と難しい
習い事を始めるとき、多くの親は真剣に悩みます。どの教室がいいか、いつから始めるか、費用は続けられるか、送り迎えは無理なくできるか。
でも「いつやめるか」まで考えて始める人は少ないのではないでしょうか。
始めることには熱心でも、終わらせ方は後回しになりがちです。
先日、年長の息子に「ピアノって何歳までやるの?」と聞かれました。ちょうど、息子が通う運動教室の辞め時を夫婦で話していた時期でした。
その会話を聞いて、息子は「習い事はいつかやめるもの」と思ったのでしょう。でも私たちはピアノをやめさせるつもりはなく、「ピアノは終わらないんだよ」と伝えました。
このやりとりをきっかけに、私は習い事のやめどきについて考えました。
そして気づいたのは、習い事には「タイプ」があり、やめどきの考え方も違うということです。
同じ「やめる」でも、意味が全然違う。この視点を持つと、判断がぐっと楽になります。
子どもが「行きたくない」と言い出したとき、親として知っておきたい視点をまとめました。
習い事は「4つのタイプ」に分けられる
やめどきを考えるとき、まず意識したいのが「その習い事はどんなタイプか」という視点です。
私は習い事を以下の4つに分類しています。
卒業型
プログラム自体に「終わり」が設計されているタイプです。幼児向けの知育教室や、特定の年齢までを対象とした運動教室などが該当します。
たとえば、私の長男の通っているbiima sportsは、「運動神経が急激に発達する時期」として小学3年生までを対象にしています。このように明確な区切りがある教室は、卒業型にあたります。
移行型
総合的な内容から、専門的な内容へステップアップするタイプです。
ヤマハ音楽教室の3歳児クラスは、音楽に合わせて体を動かしたり、カスタネットを叩いたりするリトミック教育です。4歳児クラス以降になると、エレクトーンまたはピアノといった楽器の練習にステップアップします。
「やめる」というより「次へ進む」という感覚に近いでしょう。土台を作る段階から、専門性を高める段階への移行です。
継続型
本来は「終わり」がなく、一生続けられるタイプです。ピアノや書道、水泳などが代表例です。
技術や表現に上限がないため、続けようと思えばいくらでも続けられます。プロを目指さなくても、趣味として生涯楽しめます。
だからこそ、やめどきの判断が難しいです。
中断型
習い事の内容というより、外的な要因で一時的に離れてしまったものです。
受験や引っ越し、家庭の事情などがきっかけになります。環境が変わったり、状況が落ち着いたら再開できる可能性を残しています。
この4つの分類を意識すると、必ずしも「やめる=失敗」ではないと理解できます。
タイプによっては、やめることが自然な流れであり、むしろ前向きな選択になるのです。

4つのタイプ別「やめどき」の考え方
それぞれのタイプについて、やめどきをどう考えればよいか整理します。
卒業型のやめどき
プログラムの設計に従うのが、最も自然な選択です。biima sportsであれば小学3年生まで。この区切りは教室側が考えた「卒業」のタイミングです。
卒業型の良いところは、やめることをポジティブに捉えやすい点です。「終わり」が最初から決まっているため、親も子も心の準備ができます。
1つの区切りの場面として、修了証や発表の場があるものが多いと思います。
「やめた」ではなく「卒業した」と言えるのは、子どもの自信にもつながります。
次のステップを考える余裕も生まれるので、前向きな気持ちで移行しやすいのも特徴です。
移行型のやめどき
「次」が見えたときが、やめどきの目安になります。
総合的な土台ができて、子ども自身が「これをもっとやりたい」と思える種目が見つかったら、専門的な環境へ進む選択肢を検討してよいでしょう。
注意したいのは、親が先回りしすぎないことです。
「そろそろサッカーに絞ったほうがいい」と親が決めるのではなく、子どもの興味や反応をよく観察することが大切です。
移行のきっかけは、子どもの中に生まれるものだと思います。焦らず、子どもの「もっとやりたい」という気持ちを待ちましょう。
親の役割は、子どもの「やりたい」気持ちを高め、応援するような環境づくりです。
継続型のやめどき
本来「終わり」がないからこそ、やめる理由は何とでも言えてしまいます。「忙しくなったから」「他にやりたいことができたから」「子どもが行きたくないと言うから」。
どれも理由としては成立しますが、本当にそうなのかは立ち止まって考えたいところです。
継続型の習い事を続けるかどうかを判断するカギは、「この習い事を通して、どんな大人になりたいか」という将来像を親子で共有できているかどうかです。
将来像が明確であれば、一時的に行きたくない時期があっても乗り越えられます。逆にあいまいなまま続けていると、ちょっとしたきっかけでやめる方向に流れやすくなります。
「なんとなく続けている」状態は、子どもにとってもストレスになりかねません。
「続けていく意味」を言葉にして共有することが大切です。
逆に、目的を話し合った結果「もう十分だね」となることもあるでしょう。それは立派な「やめどき」です。
大事なのは、あいまいなまま流されないことです。
中断型のやめどき
受験や引っ越しなど、外的な要因は仕方がありません。ここで意識したいのは、「中断」と「終了」を分けて考えることです。
受験が終わったら再開するのか、それとも完全にやめるのか。この違いは大きいです。
再開の可能性を残しておくなら、先生にその旨を伝えておく、楽器や道具を手放さないといった選択肢もあります。
再開判断のきっかけとして、期限を決めておくと、さらに効果的です。
やめどきを「終わりの判断」ではなく「一時停止の判断」として捉えると、気持ちが楽になるかもしれません。
中断する前に「戻ってくる可能性」について家族で話し合っておくと、再開のハードルも下がります。
「やめる理由」は後からいくらでも作れる
少し厳しい言い方になりますが、習い事をやめる理由は後からいくらでも作れます。
私自身、子どもの頃にピアノを習っていた友人が何人もいました。彼らは成長のさまざまなタイミングでピアノをやめていきました。
「受験があるから」「部活が忙しいから」「他にやりたいことができたから」など、理由はそれぞれです。限られた時間の中、やりたいことを全てやるのは難しいです。
誤解のないように言うと、やめること自体が悪いわけではありません。卒業型や移行型のように、やめることが自然なタイプもあります。
優先順位を考えた結果としてやめる判断は尊重されるべきです。
ただ、親として意識しておきたいのは、「やめる理由を作っていないか」という視点です。
子どもが行きたくないと言ったとき、それを理由にやめる判断をするのは簡単です。でも、「将来どんな自分になりたいか?」を考えてみることで見えてくることがあります。
始めたときの期待や思いを振り返ると、未来に対しての希望に満ち溢れていたはずです。
今の判断が正しいかどうか、冷静に考えてみましょう。

わが家の判断:運動教室は卒業、ピアノは継続
最後に、わが家のケースを紹介します。
息子が通うbiima sportsは「移行型」として卒業を決めました。小学生になるタイミングで、複数の種目を広く体験する段階から、1つの種目を深める段階へ移る時期だと判断したからです。次にどこに入るか、今は息子と一緒に考えています。
一方、ピアノは「継続型」として続ける方針です。夫婦ともに音楽を長く続けてきた背景があり、音楽は一生の財産になると考えています。息子には「ピアノを続ける人は、かっこいいんだよ」と伝えました。
これが正解というわけではありません。大切なのは、それぞれの習い事がどのタイプに当たるのかを意識し、やめどきの考え方を変えることだと思います。
まとめ
習い事のやめどきは、タイプによって考え方が変わります。
- 卒業型:プログラムの終わりに合わせて、前向きに区切りをつける
- 移行型:子どもの興味を観察し、「次」が見えたタイミングで判断する
- 継続型:「習い続けたら、どんな自分になれるか」を親子で共有し、安易にやめない
- 中断型:「中断」と「終了」を分けて考え、再開の可能性を残す
子どもが「行きたくない」と言い出したとき、親がこの視点を持っておくと冷静な判断ができるはずです。感情的にならず、「このタイプだから、こう考えよう」と整理できます。
習い事をやめることは、決して失敗ではありません。
ただ、後悔しないためにも、「やめどき」は丁寧に考えたいものです。
今回の記事では、習い事の「やめどき」について考えてみました。
習い事に行き詰って「行きたくない」となるのは、よくあることです。
「本当にやめてしまっても良いのか?」というお悩みには、こちらの記事がヒントになるかもしれません。
ぜひ、読んでみてください。




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